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【組田 鉄夫】 (くみた てつお) 27歳 大学では、ロボット制御に夢中になり組込みソフトのおもしろさを感じて、現在勤める電子レジスターの会社に就職した。先輩の立花 秀樹について5年間、電子レジスターの組込みソフトについて基礎から応用まで学んだ。立花が示した組込みソフトエンジニアのロードマップに沿ってメキメキと力を付けてきたのだが、立花が突然人事異動で社長直属の特命プロジェクトに引っ張られてしまったため、ソフトウェアチームのプロジェクトリーダーの役割もこなさないといけなくなった。立花がいなくなったことで自分自身の努力で技術的な成長を遂げる必要に迫られている。 |
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【立花 秀樹】 (たちばな ひでき) 37歳 東洋電子レジスターの組込みソフトウェアにおける技術リーダー的な存在で、最新のソフトウェア工学を取り入れながら開発の効率化や、ソフトウェアの信頼性向上について取り組んできた。組田が入社してから、それらの技術を伝授すべく、実際の製品開発の中で教育を行ってきたが会社の特命プロジェクトに異動になったためすべての技術を伝えきれないまま、組田と離れてR&Dセンターがある京都に赴任してしまった。特命プロジェクトで何をしているのか、組田や室井は知らされていない。 |
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【室井 安治】 (むろい やすじ) 45歳 ミドルレンジの電子レジスター開発部門の製品担当課長。電気系出身のエンジニアで、20年以上前に4ビットのマイコンを使ってアセンブラで電子レジスターのソフトウェアを作ったことがある。昔の実績を背景に「自分はソフトウェアのことはなんでも分かっている」と言うため、立花や組田とはしばしばソフトウェアのことで口論になる。しかし、最近のソフトウェア技術について理解を深めたいという願望はあり、組田の話しを理解したいと考えている。電子レジスターのコストダウンとリコールの軽減について、上層部から指示がきており頭を悩ませている。 立花が特命プロジェクトに異動になった穴埋めとして新人の佐藤を組田に付けて、ソフトウェアグループの体勢を立て直そうと考えている。 |
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【佐藤 智明】 (さとう ともあき) 22歳 東洋電子レジスターに入社した新人技術者。本社の社員研修で2ヶ月間、ハードウェアや組込みソフトウェアの基礎、電子レジスターのしくみや市場などについて学んだ。組田の下について、早く一人前になりたいと思い試行錯誤しながらも毎日がんばっている。 |
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【南野 光太郎】 (みなみの こうたろう) 27歳 組田 鉄夫と同じ大学の出身で、Webアプリケーションソフトにおけるデザインパターンについて卒業論文を書いた経験を活かしてビジネス系アプリケーションソフト開発の会社に就職した。オブジェクト指向設計について実践的経験を積み仕事もおもしろくなりかけている。大学を卒業してからも組田とはソフトウェア技術についてよく酒を飲みながら語り合っている。 |
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| ※ハードルはエンジニア個人の努力で越えることのできる技術的難易度を示し、壁はプロジェクトや組織の取り組みで越える目標を表しています。 | ||||||
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“時間分割のハードル” とは、組込みソフトが常に背負っているリアルタイム性能を実現するための技術的ハードルです。かつて、組込みソフトエンジニアの先人達は組込み機器に求められていたリアルタイム性能をCPUと周辺デバイスを駆使し、1つのメインループと複数の割り込み処理で実現していました。しかし、ソフトウェアの規模が拡大し、リアルタイム性を含んだ複数の動作をひとつのCPUで実現しなければならなくなった現在では、時間的な同期を意識しながら、リアルタイムOSを使って独立性の高いモジュール分割をしなければなりません。“時間分割のハードル”を越えることで、組込みソフト技術者としてのリアルタイム性能を意識したモジュール分割の技術を身につけることができるでしょう。 | |||||
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“機能分割のハードル” とは、多様化した要求仕様をソフトウェアで実現するために必要な技術的ハードルです。この技術はビジネス系のソフトウェア開発では、オブジェクト指向設計などの取り組みで解決が進められている分野ですが、組込みソフトでは、第一の“時間分割のハードル”を越えた上で、さらに、"機能分割のハードル”を越える必要があるため、ビジネス系で培われた技術をそのまま取り入れるだけではうまくいきません。時間的な分割と機能的な分割は個別に行うのではなく、相互に行き来しなければならないのです。“時間分割のハードル”と"機能分割のハードル”を越えることで、制約条件をクリアしながら、求められるリアルタイム性を確保しつつ、多様化した要求仕様を効率的に実現することが可能になります。 | |||||
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“再利用の壁” は規模が拡大したにもかかわらず、以前よりも増して短縮することを求められている開発期間を達成させるための切り札です。組込み製品は同じ市場に長い間商品を投入し続けるため、市場やユーザーが求める根元的な要求に応えるためのコアとなるソフトウェア資産が存在します。このコア資産を、バリエーションを実現する部分のソフトウェアと分離しマネージメントすることで効率的なソフトウェア開発が可能になります。初めてコア資産の分離するときには、分離しないで開発するときのおよそ1.5倍の期間と高度な技術が必要ですが、コア資産の摘出ができた後、差分開発の回数が増えるたびに開発期間は短縮され、商品の付加価値を高めながら開発効率を飛躍的に向上させることができます。体系的な再利用の実現には、ソフトウェア技術のみならず市場分析や製品群の特徴を分析する技術が必要であり、組織横断的な取り組みが不可欠です。 | |||||
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“品質の壁” は、組込みソフトに求められる安全性や信頼性をクリアするために越えなければならない目標です。組込み製品は人の生活に密着しており、組込みソフトは組込み製品をコントロールする頭脳となっているため、そこに不具合があるとユーザーに迷惑がかかるだけでなく、企業全体の信用も失墜してしまいます。企業にとっては製品回収の費用が利益を圧迫しているという現状もあります。組込みソフトエンジニアは、ソフトウェアの品質向上についての理論を理解し、プロジェクトや組織としてその理論を実践することで、製品の安全性や信頼性を確保します。組込みソフトを取り巻く世界は、グローバル化しつつあります。世界全体に広がった市場で、日本の組込み製品、日本の組込みソフトは品質が高いというブランドイメージを守り続けなければ、私たち組込みソフトエンジニアの足下も揺らいでいくでしょう。 | |||||